♪頭を雲の上に出し 四方の山を見下ろして・・・
唱歌「ふじ山」にある富士山は、
静岡県と
山梨県の県境に位置する標高3776mの独立峰です。言うまでもなく高さは日本一で、関東を見守らんがごとく、その美しい山容は条件次第で
関東平野のあちこちで望むことができます。
ちなみに富士山に次ぐ山は、
山梨県の
北岳(3193m)、そして岐阜・長野県境の
奥穂高岳(3190m)と続いています。日本の3000m級の山々は静岡・山梨・長野・岐阜などの南・
北アルプスに多いので、もしかしたら富士山が身近なのは実は関東人と山梨・静岡の人だけかもしれませんね。
そんな富士山ですが、信仰の形成という面でも注目しなければなりません。
山岳信仰自体は、日本ではとても普遍的な信仰ですが、富士山はその代表のようなものです。各地にある
浅間神社(せんげんじんじゃ/あさまじんじゃ)は富士山を祀った神社です。また、
富士塚なんてものも残されていますね。
今回はそういったことで、富士山の
山麓をめぐり、
浅間信仰を見てみたいと思います。
車に乗り込み、最寄りのランプから中央道を西へ走ります。
朝早かったので、順調だろう・・・と思ってたのですが、八王子ICを過ぎたあたりから断続的な渋滞が・・・
うーん、関越や東名と違い、中央道は2車線で、カーブや坂が多いこともあって、休日はやっぱり朝でも渋滞は避けられないようです。
そんなこんなで、何度か渋滞にはまりながらも、相模湖付近を抜けると、次第に流れ始め、上野原あたりで完全に解消しました。
大月で富士吉田方面へ分かれ、終点の河口湖ICまで走ります。
そして、着いたのが・・・
富士吉田市上吉田の
北口本宮冨士浅間神社です。
富士山の周辺には、たくさんの富士
浅間神社があります。
このブログでも一昨年、河口湖畔の
富士御室浅間神社を紹介しましたが、この冨士
浅間神社もまた御室
浅間神社と同様に古い歴史を持つ神社です。
前から気になっていたので、行ってみたいと思い続けていましたが、機会あって来ることができてよかったです。
鳥居の額には「富士山」とあります。
社域はうっそうとした森となっており、神秘的です。
この森は「諏訪の森」と言われているそうで。
浅間神社がある森なのに、「諏訪の森」とはこれいかに。
どうやら、
浅間神社が出来前に、すでに
諏訪神社が当地にあったための名称なようです。
大鳥居の前まできました。どうやら修理工事中だったようです。
「三国第一山」とあるこの鳥居。木製鳥居としては日本最大だそうです。
うーん、
厳島のものよりも大きいってことなのかな?
鳥居をくぐると、隋神門があります。
ここをくぐって・・・
境内に入ります。
説明版
【クリックで拡大可能】
詳しい創建の由来などはよくわかっていませんが、おそらくこの地が富士山の遥拝(ようはい、遠くから拝むこと)の場所であったことがその起源であったと考えられています。
当初から社殿を建立したわけではなく、富士山そのものが神体であり、そこに向かって建てた鳥居がこの神社の起源であったということです。
ところで富士山に祀られる神は、
木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の命という美しい女神です。
富士山の優美で気高い山容をみれば、祀られている神が美しい女神であることは納得できますが、中世以降は例外なく
神仏習合の影響で富士山の神は「浅間大菩薩(せんげんだいぼさつ)」でした。あと
修験道もかなり関与してきます。そんな
神仏習合やら
修験道が富士山から排除され、
神道的になるのは言うまでもなく明治の
神仏分離の結果です。
この
北口本宮冨士浅間神社も、かつては仁王門や
護摩堂などがありましたが、
神仏分離の結果、取り除かれました。参道には仁王門跡の立札がありました。
社殿です。手前の杉が立派です。
いわゆる浅間造(せんげんづくり)の社殿ではありませんが、これはこれでいい社殿です。
ま、静岡側の
浅間神社とは系統が違うので、当たり前と言えば当たり前ですが・・・
それに浅間造を持つ社殿は、実はそうそう多くないですしね。
この神社は、戦国時代に
武田信玄や領主の小山田氏が納めた願文(がんもん、神仏に願いを立てて奉納した文書)が残されています。
信玄と言えば、諏訪社への信仰が篤いことで知られていますが、意外と
浅間神社への信仰も厚く、他に富士御室
浅間神社や
富士山本宮浅間大社にも信玄の願文が奉納されています。
授与品マニアの私は、お守り・お札等で大散財してしまいました。
しかし、そんなことに気を取られていると・・・
この拝殿の後ろに国指定
文化財の東本宮・西本宮があったとのことですが、なんと見忘れてしまいました!
他に「諏訪の森」由来となった
諏訪神社や、原初的な富士山信仰の遺跡である大塚山(おつかやま)など、見るべきところを盛大に見忘れてしまったのでした・・・
やはり事前調べは大切なことを思い知りました。
まあ、そんなに遠くないので、また来ればいいだけの話ですが・・・
(つづく)
〔参考文献〕
『山梨県の地名』(日本歴史地名大系、平凡社、1995年)
〔関連記事〕
河口湖の周辺に行ってきた1(河口湖・富士御室浅間神社里宮)
〔お知らせ〕
容量節約のため、以下の2記事を削除しました。
・彼らにとって「町」とはどこか?(アニメから探る)
・秩父の面影を求めて(アニメから探る)
該当記事にnice!およびコメントを下さった方、申し訳ありません。