神変堂(じんぺんどう)へぇ・・・神変大菩薩って役小角(えんのおづね)のことだったのかなぁ・・・ 役小角って言えば、7世紀頃の実在の人物で、雲に乗っちゃったり、仙人と遊んじゃったり、鬼神を自由に使っちゃったりして、あまりにも摩訶不思議なので、伊豆の島に流罪になちゃったりしながらも、夜は富士山まで飛んできて修行したりと、相当なワルな人物ながら、山岳信仰や修験道で非常に信仰される人。 もちろん、不思議なパワーはほとんど伝説に過ぎませんが。 しかし、役小角の登場によって、高尾山は修験道に匂いがプンプンとしてきました。 さらに参道を歩きます。 今度は石柱発見。「南無飯縄大権現」とあります。 飯縄権現(いづなごんげん)というのは、長野県の飯縄山に対する信仰で、その神は狐、あるいは天狗とされています。これによって高尾山は、飯縄権現を祀っていることがわかります。当然、神道や仏教の神ではなく、修験道の神のです。 これは非常に面白くなってきました。 さて、今度現れたのは大量の奉納者名を記した札。 何を奉納したかと言うと、これのようです。 だんだん奉納金が多くなっていくのですが、トップはこれでした。 サブちゃんを差し押さえて、トップはケーブルカーの運営会社でした。まあ、薬王院のおかげで儲かってるわけですからね・・・ウィンウィンの関係ってやつですね。 でも他の奉納札に、東京都議会とか八王子市役所とか東京消防庁とか警視庁とか官公庁の名前もいっぱいあったのですが、そのお金っていったいどこから来てるんでしょうね。まさか、税金? そんなこんなで山門につきました。 「高尾山」とあります。 境内にさっそく天狗登場!どうやらここの飯綱権現の正体は天狗ということらしいです。 天狗「AKBのなかで誰が好き?」 私「僕は乃木坂の方が・・・」 「誰が好き?」 「お・・・大島優子です!」 さらに石段を登ると・・・ 本堂に着きました。 ここにも天狗発見! めちゃめちゃ「飯縄大権現」と書いてあります。 本尊が飯縄権現ってことは、高尾山はバリバリ・ディープな修験道寺院なわけですね。 一応、薬師如来も祀られているようですが、メインは飯縄権現のようです。こういう仏教の正式な(?)仏さまではなく、日本の修験道の神が祀られているパターンは、まだ各地にあると言えばありますが、ここまで堂々としているのは、私は初めて見ました。日本のこういった信仰形態は、たいていは明治の神仏分離政策で、廃絶や分離を余儀なくされたわけですから。 しかし、どうもあとから調べた結果、高尾山は明治の神仏分離にうまく対応して、仏教寺院であるという立場を明確にし、これを乗り越え、大正頃に「権現」号を復活させ、再び神仏習合の姿に戻っていったようです。 こうして今のごった煮な信仰が出来上がったわけです。 その結果、本堂裏手には堂々と鳥居を構えた御本社があります。 下の仏堂形式の本堂とは打って変わって、こちらはさながら神社のような社殿建築です。 おそらく権現造りでしょう。装飾の華やかさを相まって、各地の東照宮を思い起こさせます。 こちらで飯縄権現を祀っているようですが、下の本堂にも飯縄権現は祀られており、非常にカオスな状態になっています。 あとは奥の院とか・・・ 浅間神社とかとにかくごった煮で、わけがわかりません(笑) しかも、「浅間大権現」という尊称も珍しい(?)普通は「浅間大菩薩」の方がポピュラーかな・・・ そんなごった煮信仰の高尾山。私はこういう信仰と現世利益があふれ出すような霊場が大好きなので、思いがけず聖地に巡り合えました。いろいろ高尾山の信仰を勉強して、また行きたいです。 帰りはリフトで帰ることにしました。 賤ヶ岳・御嶽山に続くリフトシリーズ。しかし、ここが一番長かったかな・・・ ケーブルカーはとうとう乗りませんでした。今度来たときはケーブルカーで行きたいです。 帰りに名物のとろろおそば食べました。 あと、これも名物有喜堂本店の「高尾まんじゅう」をお土産に買って帰ったら、おいしかったです。 そういうわけで高尾山は、信仰マニアにとっては、たまらない場所でした。予備知識があまりなかったのが悔やまれるところです。また折りを見て行こうと思いました。 (おわり)
神変大菩薩は又の名を役の小角、或いは役の行者と申され千三百年程前の山岳修験道(山伏)の開祖であります。
役の行者は日本全国の霊山、霊場に修行し、数々の不思議なご霊験を残されました。
ここ高尾山においても諸願成就の御誓願をたてられて御尊像がこのお堂に安置され、多くの御信徒からの信仰を集めております。
「南無神変大菩薩」とお唱えし、足腰心身の健康をお願いしましょう。
高尾山薬王院
高尾山へ行ってきた2(高尾山薬王院)
紆余曲折ありつつも、山頂から高尾山の信仰の中心となる薬王院(有喜寺)の門までやってきました。まったく予備知識なしにやってきましたが、さてさて、この薬王院とやらは一体何者なんでしょうか。最初は単純な仏教寺院かとも思いましたが、そこは山岳信仰。一筋縄ではいかないはず。しかも、薬王院は真言宗智山派と聞きます。真言宗智山派と言えば、川崎大師や成田山新勝寺を抱えるバリバリの祈願寺派。さらに神仏習合に加えて、山岳信仰だけに修験道の匂いがプンプン漂ってきます。信仰マニアの私には垂涎モノな気がします。
門には「祈願 国家安穏」 「祈願 被災地復興」とあります。
そのかたわらには、神変堂(じんぺんどう)なる聞いたことのない名のお堂があります。
かたわらには、こんな説明がありました。