類聚メモ帳PART2

更新はすごい不定期です。

蔵造の街並み(栃木市)

ふとしたきっかけで栃木に行ってきた。栃木といっても、栃木県という意味ではない。栃木市という場所だ。今年の2月頃からコロナのことでなるべく遠出をしないほうがいいといわれてから、初の遠出となった。

ただ、このたびカメラを新しくした。コロナ対策の特別給付金を使ってという名目で、念願の一眼レフを手に入れた。だから、いい被写体をと思って、蔵造の街並みで知られる栃木に行って、写真をバンバン撮ろうと思ったのだ。

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というわけで、旅の始まりは浅草の吾妻橋

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いつも遠出は車で行くことが多かったのだが、今回は東武線に乗っていくことにした。理由は遠いからである。以前、栃木県に住む友達を訪ねて、それこそ栃木インターまで車で行ったが、首都高で都心を抜けるのも、東北道で延々と走るのもとても大義に思えた。

しかし、調べれば栃木までは東武線の特急で浅草から一時間ほどであるという。だったら電車の方がいい、ということになったのだ。

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吾妻橋から東武線橋梁を眺める。松屋デパートを出た東武線の線路はこの橋梁に向かってものすごい急カーブを曲がっていく。

最近、この橋梁はライトアップを始めた上、横に人道橋ができて人気だそうだ。

前の日のアド街ック天国でそれをやっていたので、その影響で混んでいると思いきや、そうでもなかった。

 

というわけで東武浅草駅。松屋デパートの中にある。

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私鉄のターミナル駅は阪急以降、デパートと一体になることが多かった。

関東においても渋谷の東急、西武や東武東上線の池袋、京王や小田急の新宿、相鉄の横浜……

しかし、私鉄間や地下鉄との直通乗り入れで、こんなデパートの中を貫き通すような典型的なターミナル駅の存在価値は低くなりつつある。

実際、東武伊勢崎線曳舟や北千住から分かれて、半蔵門線日比谷線に直通する電車の方がメインとなり、浅草行きは盲腸線のようになってしまっている。

 

この私鉄の「どこどこに行けます!」という看板、関西の方が多く見る気がする。

 

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「……電車」という言い方も関西風。関東では私鉄は「〇〇線」で「〇〇電車」とは言わない。

↓こんな感じ。

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しかし、東武は「東武線」よりも「東武電車」といったのかもしれない。

手元にある三浦哲郎の『忍ぶ川』(昭和35年(1960))に「私たちは電車を乗り継いで北千住までいった。志乃は、東武電車にのりかえて……」という一節が出てくる。

 

インターネットで特急券を買ったら、あとはPASMOをタッチして入場するだけ。

便利な時代になったものだ。

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それにしても東武浅草駅から特急に乗るのは人生2回目。

それも最初はまだ小さい頃、家族旅行で日光に行った時以来のことだ。

 

あの時乗ったスペーシアは今でもバリバリの現役であったが、今回はこちらの「リバティけごん」号に乗る。

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デビューしたばかり(?)。真新しい車体がうれしい。

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出発。それにしてもコロナの影響か、もともと需要がないのか、電車はガラガラ。ただし、北千住から幾分乗ってきた。

さきほど吾妻橋から見た東武線橋梁を渡る。

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浅草を出ると、とうきょうスカイツリー、北千住、春日部、栃木の順に止まる。

距離的に1時間で着くのか?と同行した友達と心配になりつつも、栃木には本当に約1時間で着いた。

意外と近いのね。

 

栃木駅。高架駅でJR両毛線と並びあう配置だ。

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ちょうどお昼時。ご当地グルメに舌鼓を…というわけでもなく、駅前の「はま寿司」でたらふく食べる男二人旅。

大丈夫。これが僕らのルーティーンなのだ。せっかく栃木まで来ても回転寿司。ブレないねぇ。

 

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駅前から歩いて10分弱のところに「蔵の街遊歩道」の起点があった。

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ここからこの水路に沿って、蔵造りの街並みが広がるという。

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どんよりとした9月の日曜日。雨が心配な雲のもと、散策をスタートする。

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やがてそれらしき街並みのある場所に到達。

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堰があった。この水門を越えると…

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街並みも河岸に柳が植えられている優雅な感じに。

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そうして蔵造りの街並みに到着。巴波川(うずまがわ)に沿って、このような街並みが続く…

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が、何やら様子がおかしい。今まで閑散としていた町だが、この付近だけみんな橋の上に立って何かを見ている。車両や整理員もいっぱいいて、どうやら何かの撮影をやっているようであった。

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何の撮影なのかはわからない。有名人もいるのかもしれないが、私たちはそちらには興味がなくオールスルー。

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ここ、栃木は日光例幣使街道の宿場町として栄えた。

明治の一時期、栃木県庁が置かれていたこと、戦災を免れたこともあり、今でも蔵造りの街並みが保存されている。

なお、栃木市は旧栃木県の県庁所在地であった。後、宇都宮県と合併し、その後、県名は栃木なまま、県庁は宇都宮に移った。

こうして栃木県だけど、県庁所在地ではない栃木市ができた。

栃木の都市といえば、宇都宮や小山あたりが思い浮かぶが、人口ではその次に栃木市が来るらしい。

しかし、栃木市の人口は15万人程度だから、栃木県って意外と人口少ないのね…

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いい街並みだが、不案内なのでテキトーに写真を撮って、進んでいると…

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幸来橋(こうらいばし)まで来た。栃木県道75号(栃木佐野線)が渡る橋である。

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不案内なのでテキトーに曲がって、散在する蔵を撮影。

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蔵の街大通りに出た。

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それにつけてもこの雰囲気、川越にそっくりである。

蔵造りの街並みが残されている、県内第3位の都市である、私鉄とJR双方通っている(しかもどっちも東武)、山車の出るお祭り……

様々な共通点がある。

何より雰囲気が本当に川越に似ている。ただし、川越のほうが圧倒的に大きな都市であるが……

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旧県社の神明宮に来た。

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葺き替えたばかりなのだろうか。茶色い銅板が特徴的な屋根である。

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ここらへんでちょっと雨。町歩きには都合の悪い天気だ。

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平成2年(1990)の段階で、当時の天皇(現上皇陛下)を「平成天皇」と書くのは、珍しいね。

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歩いているうちに近龍寺に来た。

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浄土宗の寺院とのことだ。栃木には寺がたくさんあるが、結局訪れたのはここだけであった。

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蔵の街なのでお寺も蔵造りを意識?漆喰だろうか。白い屋根と大きな鬼瓦が特徴的。

少しお風呂屋さんにも見える。

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こちらのお寺には、『路傍の石』なんかで有名な山本有三の墓もあるらしい。見てはいない。

 

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川越と似てはいるが、川越とぜんぜん違うのは人がいないこと。コロナのせいか、過疎のせいかはわからない……

 

再び蔵造りの街並みのほうへ戻る。

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巴波川に沿って駅のほうへ戻る。

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それにしても観光地にしては人が少ない。コロナのせいなのか、もともとこうなのかはわからなかった。ただ、あまりメジャーな観光地ではないような気がする。川越ほど知られているわけではなさそう。

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ただ、この少し寂しい雰囲気、好きかもね。

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何かお店に入ればよかったと思うも…

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少しけだるい日曜日の午後のこの雰囲気だけを楽しむことで十分でした。

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倭橋(やまとばし)に来た。

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蔵造り大通り。ここにもいくつか蔵があった。

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ここも川越に似た感じ。

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栃木駅まであと少し。

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公園を通り抜けて、またもとの遊歩道へ。

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水路があるのはいい感じね。

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綺麗な街並みで、人も少なくのんびりとした散策であった。ただし、不案内で見どころもあまりよく知らずに来てしまったので、2時間ほどで探索は終了してしまった。

もっとよく調べてからくればよかったといささか後悔。

しかし、天気も悪いので東京に帰ることに。

 

帰りの特急はリバティではなく、「きりふり号」。

えらくレトロな、昔の踊り子号みたいな電車が来た。

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はや栃木を離れ、いざ東京へ。少なくとも北千住までは爆睡。時間が余ったので東京スカイツリーで降りて、はじめてスカイツリーに上りました。

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錦糸町でご飯を食べて友人と別れました。いやぁ、実にいい休日でした。

 

(おわり)