長かった梅雨も明け、いよいよ夏も本番といった感じ。そんな中、ふと自宅の駐車場を見ると、玄関横の一段下がったところにクモの巣が張ってあることに気づいた。
このような地表面近くに張られる巣は、オオヒメグモの巣であろう。
私たちがイメージする巣を張るクモというのは、中空に巣を張り、飛んできた虫を捕らえる、というのが一般的だ。
しかし、オオヒメグモは地表や壁を歩いたり、這ったりしている虫のみをとらえる。
私がこのことを知ったのは、まだ埼玉県で一人暮らしをしていた時のこと。
ベランダに巣を張ったオオヒメグモの下に、やたらにダンゴムシの亡骸がいっぱい落ちていたことに気づいたからであった。
オオヒメグモの巣はかわっていて、中空に張られた巣はクモの居場所のための足場に過ぎず、ここに粘着質はない。
粘着質のある糸は地表付近にあるものだけである。地表を這ってきた虫が、この地表付近の粘着質のある糸に触れ、それにからまって糸がきれると、糸は獲物ごと上に引っ張り上げられる。
結果、クモはこうして引っ張り上げられた獲物を捕らえ食べる。このため…
オオヒメグモの巣の下はこの通り、餌食になってしまった地表を這う虫、例えばダンゴムシや何か小さな芋虫のようなものの亡骸ばかりになる。
それにつけても、この巣では本体が見えない。
ちなみに何年か前、鎌倉市の山中で見つけたオオヒメグモの巣と本体はこんな感じ。
まあまあ、どこでもよく見るクモだ。
私の夢としては、いつかこのクモを一匹捕まえて、水槽の中にでも入れて、巣を張らせ、ダンゴムシか何かを捕まえる様子を観察してみたいのだ。
どうやって地表から中空に吊り上げられるのか、その様子が非常に気になる。
しかし、そんな実験、妻が嫌がるだろうな。
埼玉での一人暮らし時代にやってみればよかった。
現実的な手段としては我が家には、こんなちょっとした箱庭みたいな庭がある。
実験をするとすれば、ここがいいんじゃないか。
なにしろ外だから、妻も嫌がらないだろう。
それにオオヒメグモは実にありふれたクモだから、何もしなくても探せば、すでにこの箱庭の中に一匹ぐらいいるかもしれない。
この箱庭に何か植木鉢でも持ってくれば、環境ももっと整うかも。
それにしても人々はこのコロナ渦に苦しむ中、自然だけは変わらぬ日常で、うらやましい限りですね。
(おわり)