類聚メモ帳PART2

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九品仏・浄真寺【後編】(世田谷区)

さて、浄真寺の通称を九品仏ということについて述べなければならない。この九品仏とは浄真寺にある九体の阿弥陀如来のことを指す。阿弥陀如来と言えば、西方極楽浄土の主で、浄土信仰の中心的存在となる仏だ。観無量寿経というお経に「光明は遍く十方世界を照らして 念仏の衆生を 摂取して捨てたまわず(阿弥陀如来の放つ光は、世界を隅々まで照らして、念仏を唱える人々を残らずお救いになり、決して見捨てない)」という一節があり、一切の衆生を救済するという。

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◆PART1 阿弥陀仏の御誓願

すなわち、阿弥陀仏はその名を呼ぶものをすべてを残らず御救になる、ありがたい仏様であるという。 IMG_4428.JPG

その名を呼ぶときは「南無阿弥陀仏」と唱える。これがすなわち念仏である。 「南無」はサンスクリット語で「帰依する」の意味がある。 「阿弥陀仏に帰依します」というこの呪文を唱えることで、極楽に往生することは間違いないのだ。 その根拠は、阿弥陀如来がまだ修行中の宝蔵菩薩であった頃、衆生を救済するため48の誓願を立てた。その18番目に 「私が仏になるにあたって、すべての人々が私の誓いを信じ、私の国(極楽浄土)に往生したいと願って、わずか十遍でも私の名を唱えた(念仏をした)ならば、その者は必ず私の国(極楽浄土)に往生する。それが叶えられない間は私は仏になりません」 というものがある。

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しかし、宝蔵菩薩は仏になったのだから、約束通りその名を呼ぶものを阿弥陀仏は残らずお救いになるのだ、という理論が浄土教の根幹である。 そして、日本の浄土教比叡山の天台教学の中で学ばれて以降、空也源信(恵心僧都)の活躍、そして専修念仏という形で法然親鸞によってそれらは多くの人々に説かれ、浄土信仰は上下の身分を問わず浸透していった。 これだけ見ると、阿弥陀如来の広大な慈悲の力を感じざるを得ないだろうし、それを末法に生まれた衆生に広めた法然親鸞がいかに魅力的な思想家であったことも頷ける。

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だが、実はこの18番目の誓願には、一般的には知られていない部分がある。 それは 「ただし、五逆と謗法をした者は救うことはできません」 というものだ。 五逆とは、仏教における5つの大罪のことで、諸説あるが、一般的には ・父を殺すこと ・母を殺すこと ・阿羅漢(あらかん=僧)を殺すこと ・僧の和合を破ること ・仏身を傷つけること である。

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びっくりした。そんな一文があったなんて。 阿弥陀如来にも救えない者があるのだ…… そりゃ、そうだと納得できる一方で、ちょっと現実を突きつけられた感がある。

◆PART2 極楽にも種類がある

ところがその阿弥陀仏が主宰する極楽浄土にも種類があるのだという。 これは『観無量寿経』に説かれるもので、いくら阿弥陀仏のお力で極楽に行けるとは言え、信仰心の篤い良い人と極悪人では往生できる極楽が違うのだという。 というのも、まず極楽は上品(じょうぼん)・中品(ちゅうぼん)・下品(げぼん)の3種類に分類され、さらにそれぞれに上生(じょうしょう)、中生(ちゅうしょう)、下生(げしょう)の3段階に区別される。 この組み合わせ、すなわち上品の上生、中生、下生、中品の上生、中生、下生、下品の上生、中生、下生で合計9種類の往生のパターンがある。 浄真寺には本堂に対面して、3つの阿弥陀堂がある。それぞれ上品堂、中品堂、下品堂で、それぞれのお堂の中には3体の阿弥陀仏が安置されている。各堂の3体の阿弥陀仏は、それぞれの極楽を表す印相(手の形)をしている。3×3で合計9体の印相の異なる阿弥陀仏があるので、これを九品仏という。 いうまでもなく浄真寺の通称の由来である。なお、九品仏があるのは日本ではここと、京都の浄瑠璃寺のみであるという。 本堂を背に左から、下品堂・上品堂・中品堂の順になっている。

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この並びはなんだろう。 IMG_4420.JPG

では中品堂から

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堂にはそれぞれ九品の額が掲げられている。 IMG_4424.JPG

堂内の阿弥陀仏はなかなか大きい。近世の作である。いずれも東京都指定有形文化財である。

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次は下品堂。 IMG_4433.JPG

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中央にあるのが上品堂。

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世田谷区内にこのような大寺があるとは意外であった。また機会があれば寄ってみたい、と思うような良いところであった。

 

◆おまけ1

その浄真寺の通称に由来する九品仏駅は島式プラットフォームの線路と線路の間に駅舎がある不思議な形態をした駅だった。 IMG_4460.JPG

踏切と踏切の間に改札・出入口がある。

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ややこしい構造しているね。

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◆おまけ2 その九品仏駅は両端を踏切で挟まれている上、プラットホームは4両分しかない。 よって5両編成で運転されている大井町線の各駅停車は二子玉川寄りの1両をドアカットする。 こちらがその舞台となる二子玉川寄りの踏切。

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踏切を挟んだ線路と線路の間には車掌が安全確認をするためのホーム状の台が設置されている。 モニターもちゃんとある。

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当然、九品仏駅に電車が停車している間、踏切は封鎖される。

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江ノ電腰越駅もこんな感じだよね。

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なお、大井町線の急行車は6両編成だが、九品仏駅には急行が止まらないので関係ない。

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2018年からは急行はさらに7両編成に増結されたが、どっちにしろ九品仏駅は関係なかった。 それにしても、こんなホームドアまである駅なのに……

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ドアカットとは、なかなか不思議な光景だ。 IMG_4477.JPG

東急は田園都市線の混雑緩和のため、バイパスとしての大井町線の強化をはかっているようだ。

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私鉄でここのところ流行りの有料着席シートが大井町線でも導入されるなど、毎年何らかの変化があるね。

(おわり)