類聚メモ帳PART2

更新はすごい不定期です。

塩船観音寺(青梅市)

年の瀬も迫る寒い日には、暑い日の思い出を。8月に行った青梅の塩船観音寺。

青梅に真言宗の古刹があると聞いて、車を走らせ、青梅へ。すぐそばだと思ったら、意外と時間がかかった・・・

区間とは言え、圏央道使うのはなぁ・・・とは思ったが、青梅は意外と遠いということがわかった。

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門前には、「國寶塩船観音」と書かれた石柱があるが、塩船観音寺には、現行の文化財保護法(1950年施行)に基づく国宝は存在しない。

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これは、いわゆる旧国宝となったものを指している。

すなわち、戦前に制定された国宝保存法で指定された国宝で、現在の重要文化財指定を受けているものだ。

新しそうに見えて、この石柱、結構昔のものなのか?

塩船観音寺にある重要文化財は、以下の通り。

・本堂(附けたりの指定で、本堂内厨子

・仁王門

阿弥陀堂

いずれも建築物だ。

というわけで、さっそく重文指定の仁王門。

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仁王様。阿形。

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吽形。

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暑い日だったが、境内は木々に包まれ、いくぶん涼しげ。

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阿弥陀堂。これも重文指定。

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仁王門も阿弥陀堂も、さらっとあるが、何気に室町期の建築物だ。

さらに進むと、薬師堂。

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簡素な茅葺作りだが、コンパクトで趣がある。建築年代は不明。市指定の有形文化財である。

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内部の薬師如来は、素朴な作り。

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平安期の作であるという。地方にこういった像容の薬師如来をよく目にするが、流行ったのだろうか?

それにしても、薬師如来には「病気平癒」に対する人びとの素朴な信仰を感じさせる。

古い薬師如来が、各地にいっぱい残っているのは、そういったことが反映されているのかもしれない。

「病気平癒」に対する思い。

それは今でもかわらない。

どんなに医療が進んでも、病にはなかなか打ち勝てないからだ・・・

上部は天井がない。屋根が直接見えている。

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薬師堂から上に登ると本堂へ。

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こちらも重要文化財指定。

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内部には本尊の千手観音像をはじめとする諸仏が安置されている。ちなみに本尊は秘仏である。

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100円だか忘れたが、拝観料を払うと、本堂内部の参拝ができる。

秘仏の本尊は厨子の中だが、眷属の二十八部衆像は格子越しに見ることができる。

二十八部衆と言えば、京都の三十三間堂の像が有名で、自分もその印象しかなかったが、案外各地の千手観音を本尊とする寺院には、この像があるということがわかった。

ここの二十八部衆も小さいが秀作であった。

写真を撮ることはできないが、授与所でポストカードの形で何枚かにわかれて写真が売っていた。

買ってくればよかった・・・

それにしても、本尊の千手観音像は鎌倉後期、当時流行した宋朝様式の影響を受けたものであるという。

二十八部衆像も鎌倉期~室町期の作例だ。

いずれも、現在は都指定の有形文化財どまりだが、いいんだろうか?

こちらも重要文化財にしておいた方が良いと思うが・・・

裏山に登ると、これまた良い感じのお社が。鎮守だろう。

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裏山は春はつつじが綺麗らしい。

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大観音像もある。

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人魚の肉を食べて不老不死の身になったとされる八百比丘尼(はっぴゃくびくに)の開創と伝え、地方の密教寺院特有の山寺の雰囲気を色濃く残す青梅の塩船観音寺。

真夏の日に、静かにお寺に参拝したいなら、このお寺はおすすめ。

また、行きたいな。

(おわり)