前回、厚木周辺に出掛けた際、飯山の周辺でジョロウグモを見かけた。このクモは、本州・九州では普遍的なクモで、ある程度、自然があるところでは、普通に見かけるクモだ。たぶん皆さんも馴染み深いのでは?
私の生まれ故郷にも、このクモはあちこちに巣を張っていた。
このクモは、春に孵化して、実はもうその段階からあちこちにいる。だが、春の段階では身体も小さくて、どこか弱弱しく目立たない。それが、夏の終り頃から晩秋にかけて、急に大きくなって目立つようになる。巣も大きく、黄色と黒の模様が、いかにも「THE クモ」なので、まぁよく目につくのだ。
秋の頃に大型化した巣は、非常に複雑な形をしており、綺麗な円網ではない。
そのため、小型の他の種類のクモがその近くに巣を張ったり、あるいはジョロウグモの巣自体を間借りする「イソウロウグモ」なんていうものがいたりと、巣は非常ににぎやかだ。
だから、人間の生活圏に張られると、ちょっとやっかいな存在でもある。
さて、季節は12月初旬。
もう気温もだいぶ下がって、本格的な冬到来だ。
今年は暖冬だとは言うけれども、クモって、こんな季節にもいるもんなんだろうか・・・
調べたところ、このクモは比較的寒さに強いようだ。
確かに私は故郷で、このクモを元日に見たことがある。
だが、当然、冬になれば餌となる虫もいない。
ほとんど生ける屍のようなものなのだろうか。
上の写真も、よく見ると巣にはいろいろなゴミがついていて、網や糸もボロボロで、往時の勢いは感じられない・・・このクモの命もあとわずかなのだろうか・・・
かわって、こちらは飯山観音の参道にいたクモ。
綺麗なシルバーと黄色の背中に対して、お腹側は幼体期のおもかげを残す、複雑な模様だ。
こちらも、巣はだいぶボロボロだが、なんかさっきのクモより、もうちょっと元気そうなのは気のせい?
ところで、ジョロウグモはここまで大きくなるのはメスのみ。
オスは、メスよりもかなり小さい。
クモ類全般に言えることだが、クモは交接(繁殖活動のこと。厳密にはクモは交尾とは言わない)が終わった後、オスを食べることがある。
ジョロウグモのオスも、メスに食べられないように、メスが脱皮直後で動けない時や、獲物を捕食している際に、そぉーと近づいて交接を済ませるらしい。
それはそれはデンジャラスで、命がけの繁殖行動だ。
卵を持ったメスは、たいてい秋の終り頃に産卵して、それで力尽きるらしい。
ただ、中には産んで、また巣に戻って、しばらく生きるクモもいるようだ。
産卵したクモの身体は、縦長にほっそりしている。
写真にあげたクモは、丸っこいので、まだ卵をお腹の中に持っているようだ。
だけれども、悲しいお話で、なかにはオスと出会えないメスもいるんだとか。
そういうメスは、いつまでも巣でオスを待ち続けるんだとか。
でも、だんだん寒くなり、餌もなくなり、やがて力尽きて死んでいく。
さて、飯山にいたクモたちはたいてい丸々としていて卵を持っているようだったから、「寒くなってきたけど、まだいける。まだいけるんじゃないか」的な感じで、産むタイミングを待っているのか。
動けるうちに、卵を産んどいたほうがいいんじゃないか。
そもそもクモ類は、交接して、卵を持つという流れの理解でいいのかな?
もし、サケみたいに卵が先にあって、それに精子をぶっかけるのであったなら、あのクモたちはもしかしたら、オスと巡り合えていないんじゃないか。
それで、いつまでも寒い中、死ぬことができずに待っているんじゃないか。
クモに詳しい方、どなたか教えてください!
ボロボロの巣にじっとしているクモたちを見ながら、妙な心配をしてしまいました。
(おわり)