類聚メモ帳PART2

更新はすごい不定期です。

再び秩父へ行ってきた1(序章・宝登山神社)

今年、はじめて埼玉県の秩父に行って以来、あの山に囲まれた独特の雰囲気に魅かれ、再び秩父へドライブに行ってきました。前回は秩父事件の旧跡を周るという目的があったのと同様、今回も明確な目的があります。それはオオカミのお札を求めることです。 オオカミのお札のことを皆さんは知っているでしょうか?実は、埼玉県の秩父地方を中心とした地域、あるいは東京の御岳や静岡、長野の一部にはオオカミ信仰があります。これは神様の眷属(お使い)としてのオオカミが、農作物の害獣(シカやイノシシなど)、火災や盗賊を振り払うというものです。このため、オオカミのお札を貼っておく信仰がかつて非常に盛んであったというのです。この中核を成したのが三峰神社を中心とする秩父地方の神社です。 IMG_6136.JPG 私も三峰信仰という言葉は知っていましたが、その内容までは詳しく知りませんでした。 今年、「夢窓疎石」展を見に行った神奈川県立歴史博物館の民俗の常設展示で、古民家を再現したコーナーに三峰のお札があるのを見て以来、非常に興味を持っていました(それはオオカミのお札ではありませんでしたが)。 そうして漠然として自分の中で三峰に対する興味があるなか、友達と再び秩父に行く約束を取り付けました。 そこでさっそく日曜日を利用して、車で秩父に向かいました。 秩父は東京からそれほど遠くはありません。道路が空いていれば、2時間ほどで秩父の入り口、関越自動車道花園インターチェンジ深谷市)に着きます。そこから接続している国道140号(彩甲斐街道)を走ります。途中の寄居では秩父市街地方面へ皆野寄居有料道路がバイパスしていますが、今回は最初の目的地が長瀞であるので、そのまま国道140号を進みます。 ほどなくして最初の目的地、宝登山神社(ほどさんじんじゃ)に着きました。 IMG_6128.JPG 宝登山神社には無料の駐車場があります。 IMG_6148.JPG 私たちは鳥居前の駐車場に車を進めると・・・意外と賑わっていてスペースがありません。「どうしよう、どうしよう」と待っていると、一台車が出ようとしていたので、ハザード・ランプとバックランプを点けて「ここに入りたい!」と意思表示をしていると、その車は出ていきました。 しかし、後ろから来た車もそこに入りたかったようで・・・ 結局、私たちが先に待っていたので、そのまま入れてしまいましたが、多少気まずい思いをしました。なぜなら、ここにこだわらなくてもまだ別に駐車場はあったのです・・・ ともあれ、車を駐車すると、神社に向かいました。 三峰とは別にここ宝登山神社にもオオカミ信仰があります。 IMG_6129.JPG ちなみにオオカミのお札について、インターネットで調べていると次のような素晴らしいレポートがありました。写真も多く必見です。 ・狼の護符を求めて秩父や静岡に行ってきたので写真うpする 社殿は立派な彩色がなされています。 IMG_6130.JPG 調べる限り社殿は江戸時代のもので、彩色は近年塗りなおされたようです。 宝登山神社の由緒は次の通りです。【クリックで拡大】 IMG_6135.JPG 社殿の右側に授与所があります。こちらにオオカミのお札は置いてあるのでしょうか・・・ IMG_6139.JPG ありました!300円でゲット!せっかくなので2枚買いました。 hodosan.JPG 実物は結構大きいです(縦270mm×横92mm。ただし、画像は非トリミング)。 なかなか可愛いデザインですね。 このお札を家とか家の入り口に貼ったわけです。当然、今はプリントですが、昔は一枚一枚刷ったものでしょう。 さて、駐車場に戻ると何やら気になるお寺のような門が見えますので、行ってみると・・・ IMG_6140.JPG この通り、駐車場がまだありました。こちらはガラガラです。 IMG_6142.JPG 「第二駐車場あり」とか「奥にもあります!」的な案内があれば・・・と思いました。苦労して止めたのに・・・ ともあれ、気になるのはお寺の方です。 IMG_6141.JPG お寺は真言宗の玉泉寺(ぎょくせんじ)です。 普通、このように神社の近くにあるお寺は、かつての別当寺(べっとうでら/じ:神社を管理するお寺のこと)であった可能性が高いです。 帰って調べた結果、この玉泉寺も宝登山神社別当寺であったとのことです。 かつての日本の宗教は、神仏習合といって神仏を同一視する信仰によって形成されていました。 明治時代になって神仏分離政策(神社から仏教的なものを分離すること)があり、こういった別当寺は破却されたり、完全分離がなされたりしました。(竹生島参照) しかし、このお寺は「御神前」と書いてあったり、常住住職がおらず、神職が管理しているなど、現在にいたっても完全な神仏分離が成されていないような印象を受けました。 そういったお寺は、ないことはないのですが(⇒鎌倉市腰越・浄泉寺参照)、ここまではっきりと神仏習合の形態が残っているのは自分でははじめて見ました。 わかりやすいのはこの写真。右の方を神職さんが歩いていきます。また、この建物のさらに右には「社務所」があります。 IMG_6143.JPG 本堂です。 IMG_6146.JPG 奥には護摩堂があります。 IMG_6144.JPG 境内には池もあります。 IMG_6147.JPG いよいよオオカミのお札を手に入れ、興奮したのと同時に、ここまで神仏習合色が色濃いお寺を見たのも、あらたな収穫でした。秩父の文化はなかなか興味深いものがあります。 さて、駐車場に戻ると私たちは次の目的地へ向かうのでした。 (つづく) 〔関連記事〕 ■アーカイブ「埼玉県」秩父地方に行ってきた1(慈光寺の歴史と信仰)秩父地方に行ってきた2(定峰峠と秩父神社)秩父地方に行ってきた3(音楽寺の秩父困民党碑)秩父地方に行ってきた4(吉田の椋神社)
オオカミの護符

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  • 作者: 小倉 美惠子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 単行本
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