北関東をドライブしてきた3(足尾銅山観光坑道)
私たちは再び車に乗り、今度は奥日光から南下していきます。次の目的地は足尾銅山です。
しかし、この茨城から栃木への大ドライブのおかげで、日光を出た時点で午後3時過ぎ、足尾銅山の観光には間に合うのか不安になります。
向かう足尾の谷筋は、群馬県へ向かう道で東国歴史文化街道(国道122号線)の名がついていますが、だんだんと対向車も後続車も少なくなってきてました。天気もどんよりとして、何となく車内も暗い雰囲気というか、休日の終わりの寂しい感じが漂ってきました。
この時は、この後の大興奮が待っているとは思いもよらず・・・
ついた足尾銅山観光の駐車場は、ご覧の通り広大です。おまけにすでに4時前(足尾銅山観光の受付時間は4時半まで)とあって、停めてある車も少なく、なおさら広大さが目立ちます。
ところで駐車場から振り返ると、山と山の間に不思議な構造物が見えます。
拡大してみましょう。
実はこれは鉱滓ダムと呼ばれるものです。簡単に言えば精錬の際に出るクズを貯めておくダムですが、どんなものを貯めているのかはWikipediaにあるこの航空写真(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Sunokobashi_Tailings_Dam_survey_1976.jpg)を見れば一目でしょう。
鉱山には不可欠なものですが、実は危険も孕(はら)んでいます。
このダムが決壊することにより、有害な精錬クズが町や農地、川などに流れてしまうことです。
こういった災害は実はかなりあるのですが、直近では2010年にハンガリーで、アルミニウム精錬工場の廃液を貯蔵するダムが決壊し、廃液が町を襲い、死者まで出た事故があります。
私もこの事故のニュースで、はじめてそういったダムの存在を知りました。
「廃液を貯めるダム・・・そんなものがあるんだ・・・でも、どうせ外国の話でしょ?」と思っていたら、この足尾にもあってびっくりというか、その位置に驚きました。
駐車場から見える通り、集落の上に位置しています。あのダムが決壊したら・・・と思うとなかなか恐ろしいものです。
さて、足尾銅山の観光坑道に目を戻します。
日曜日の夕方で人気も少なく、寂しい限りですが、他の観光客も数人まだいました。
私たちも急いで入坑料を払って、中に入ります。
料金は800円です。
チケットをもらうと、まずはこのような待合室でトロッコ列車を待ちます。
やってきたトロッコ列車は小さな機関車に牽引されています。
さっそく乗り込みます。他にもあとから数組の観光客が来ました。
出発したトロッコ列車は渡良瀬川沿いを進みます。
やがて坑道の入り口で、なぜか機関車を切り離し、今度はトロッコの運転台にスタッフの方が乗り込み、運転します。
坑道に入ると急にスピードアップ。なかなかのものです。
坑道に入ってしばらく走ると終点になります。トロッコ列車区間は短い感じがありますが、なかなか面白いです。
ここからはそれぞれ歩いて坑道を見学するようになっています。
足尾銅山は江戸時代から採掘がはじまり、昭和48年(1973)に閉山するまで、約300年近く銅の採掘がおこなわれていました。江戸時代には寛永通宝という当時もっとも流通した銭の鋳造が行われ、機械の導入によって明治期以後は日本有数の銅山となりました。一方で明治期には渡良瀬川下流で足尾銅山が原因の足尾鉱毒事件が起き、昭和期には精錬過程の副産物である硫酸ガスによって周囲の山が禿山になるなど、足尾銅山の歴史はまた公害の歴史でもありました。
ただ、この観光坑道では足尾銅山の銅山としての歴史を中心に紹介しているようです。
坑道内ではこのように人形によって採掘の過程が再現されています。
坑道内は絶えず水がしたたり落ちてきます。
暗い坑道としたたる水。
この中を歩いていくと、妙にゾクゾクします。
この冒険に似た楽しさと興奮は、きっと同じ男性ならわかってくれますよね?
足尾の他の銅山関連施設には行っていないので、わかりませんが、少なくともここでは公害のことはあまり触れられていませんでした。
しかしながら、今まで知らなかった足尾銅山に友達と二人で大興奮!
少しはしゃぎ過ぎましたが、もう閉館間際で他にお客さんもいなかったので、許してください。
坑道を出たこの建物では、寛永通宝鋳造の過程が紹介されています。
すべてを見学し終えると、すでにスタッフの方が店じまいといった感じで、片づけをしていました。
私たちは急いで出口へ向かいます。
駐車場へ帰ると、私たちの乗ってきた車が広大な駐車場にポツリと一台・・・
なかなかないシュールな光景でした。
こうして私たちの北関東横断の旅は終わり、群馬県の桐生を通って関越経由で東京へ帰りました。
しかし、最後の足尾銅山は本当によかったです。
こんな面白いところだとは思いませんでした。
また来たいものです。今度はもうちょっとゆっくり見れるような時間に来たいものです。
それから足尾周辺の他の銅山関係の史跡も見たいですね。
あと、ここではあまり公害について触れられていなかったので、下流の谷中村(渡良瀬遊水地)も行かねばなりません。
今まで自分の知らなかった北関東は、まだまだ多大に感動をはらんでいる気がします。
あまりにも楽しかっただけに、また明日からやってくる平日の日常に憂鬱さも倍増しました。
(終わり)