- 作者: 安宅 夏夫
- 出版社/メーカー: JTB
- 発売日: 1997/08
- メディア: 単行本
北関東をドライブしてきた1(雨引観音・楽法寺)
私は神奈川県の生まれで、ずっと関東で生まれ育ち、関東の常識の中で、関東人に囲まれて生きてきました。そうしますと、関東の都県というのはだいたい一度は行く用事があったり、通ったりするということになるわけですが、20代半ばの今に至るまで、関東の1都6県の中で、いまだに行ったこともなければ、通ったことすらない県があります。それは茨城県です。
そもそも私は茨城県のことを、本当につい最近まで「いばらぎ」県だと思っていました(なぜでしょうね)。
このまま行かないと一生行かないような気がして(そんなことはないでしょうけれども)、なんとかして今のうちに茨城県へ行く用事を作ろうと、私の最近の愛読書『坂東三十三ヵ所 秩父三十四ヵ所めぐり』(JTB、1997年)を読んでいると、茨城にもたくさん札所があります。この中で楽法寺というお寺が別名「雨引観音(あまびきかんのん)」と素敵な名前の上、アジサイの名所ということで気になりました。
そこで友達を誘って、雨引観音へドライブに繰り出すことにしました。
行く前にgoogleMapで検索すると、自宅から茨城方面へは首都高速を通って、常磐自動車道というルートでした。しかし、私は首都高速が苦手で、合流・分流が多い首都高速よりも東京外環自動車道を使っていくことにしました。これだと大泉の入り口から入って、三郷まで分流は一回だけです。
休日の朝だったので環状8号も比較的車は少なく、無事に外環を経由して常磐道・北関東自動車道を経由し、お昼前には笠間西インターチェンジ(本当は一つ先の桜川筑西インターチェンジが最寄です)へ着くことができました。
途中、寄り道をしながら、桜川市(旧大和村)本木の集落へ細い道を車へ進めます。のんびりとした農村から、集落に入ると、道沿いには石材店がいくつかあります。近くの真壁地区(桜川市・旧真壁町)は御影石の産地ですから、何らかの関係がありそうです。
集落を抜けて、いよいよ楽法寺のある山へ登る細い道へ入ります。すると、対向車がやってきました。
細い道ですので、止まって先に行かせてから、また進みます。
しばらくしてまた対向車がやってきました。それも何台も続き、途切れず、なかなか前に進めません。
そんな状態が進むたびに起きて、助手席の友達と「なんか、おかしいね」と言い合いました。
私たちは前からも後ろからも続く車の列が雨引観音への行き返りの車とはまったく考えていなかったのです。
二人できっと「この道は何かの抜け道なのかな」とか「なんか別の施設か催し物でもあるのかな」などと言い合っていました。
しかし、山道を登り切って駐車場まで着くとびっくり!
山門前の駐車場はぎっしりと埋まり、止める場所がありません。
そこでやっと私たちは、すれ違うたくさんの車が、雨引観音の参拝客の車であることがわかりました。
私たちは「どうしよう、どうしよう」と言いながら、とにかく先に進んでみました。
すると奥にも駐車場がありました。
奥の駐車場は、舗装されたところと砂利敷きのところに分かれていました。
舗装されたところはすでにいっぱいでしたが、砂利敷きのところはまだまだ空きがあります。
「よかったぁ」と私たちは胸を撫で下ろし、されど砂利敷きで飛び石が怖いので、ゆっくりゆっくりと車を進め、止めました。
これがその駐車場です。この砂利敷きの駐車場(第2駐車場)がだいぶ余裕があるので、ハイシーズンに車で来ても、おそらく駐車スペースは大丈夫そうです。また、山門前の駐車場の下にも別の駐車場があります。
階段を登り、上から撮った山門前駐車場の様子から、その混雑ぶりがわかると思います。
私は茨城県の郊外にある、このお寺にここまで人が集まるとは思いもせず、ただただその盛況ぶりに目を驚かすばかりでした。
楽法寺は、坂東霊場に数えられるくらいですから、本尊は観音様です。
さっそく、本堂の前で観音様に拝みます。
多宝塔など伽藍はどれも立派です。
しかし、驚きは続きます。
盛況な境内にあったこのお守り売場、なんだか授与所というよりは、お店のような感じです。
お守りを買いましたが、レジスターがあり、レシートまで出てきました(消費税は0)。
お守りを授けてもらったというより、商品を買ったような感じです(まあ、似たものですが。あと、それが悪いというわけではなく、率直な感想です)。
なお、楽法寺には茨城県指定有形文化財の東照山王権現社殿がありますが・・・
宝前で何か動いたなぁと思ったら・・・
クジャクが優雅に休んでいました。
どうも境内にはクジャクが放し飼いにされているようです。他にもカモやらニワトリやらもいて、さながら小動物園です。
盛況の要因は、季節にあるようです。
先にも言った通り、楽法寺はあじさいが有名です。
それはともかく盛況ぶりと、お守りの件と、クジャクとか、はじめての茨城県はなかなかディープでした。
さて、私たちはそんな驚きの中、車に乗り込み、次の目的地へ向かうのでした。
(続く)