秩父地方に行ってきた４（吉田の椋神社）

続いて向かったのは秩父市下吉田（旧秩父郡吉田町）にある椋（むく）神社です。椋神社には駐車場がなさそうなので、近くの道の駅「龍勢会館」の駐車場に車を止めさせてもらって、そこから歩いていきましたが、実際には椋神社にも駐車スペースがありました。椋神社という名前は変わっていますが、秩父地方には他にいくつかあるようです。ここ吉田の椋神社は秩父事件の際、困民党が決起した場所として有名です。この写真も教科書などで見たことある人は多いのでは？

ここにも困民党関係の碑やパネルがたっていました。当地は困民党のほかに龍勢という大きなロケット花火で有名です。今は訪れる人も少なく、境内はひっそりとしています。

こちらが本当の参道のようです。

困民党の碑はここにもありました。

【写真をクリックすると拡大できます】

秩父事件百年の碑
秩父困民党三千余名の農民が武州秩父郡下吉田村椋神社の境内に武装蜂起したのは、明治十七年（一八八四年）十一月一日のことである。
その要求は負債据置年賦償還、村費軽減、小学校休校、雑収税減免の他徴兵令改正等であった。困民党は自らの体制を軍隊組織に編成し、私利、私恨、女犯への軍律には特に厳しかった。
困民党軍は二日大宮郷に進出、革命本部を設け秩父盆地一帯を掌中におさめた。驚いた政府は急遽憲兵鎮台兵を派兵、その襲撃の中で困民党軍は九日信州八ヶ岳山麓で壊滅するまで、果敢なたたかいを展開したのである。
このたたかいの中で農民の意識はさらに昂揚し、圧政を変じて良政に改め自由の世界を出現させる信念は、益々強化されていった。自由民権期の変革思想が大地で斧や鍬を振るう人々を、必死の行動にかりたてるエネルギーとなったのである。
秩父事件より百年、自由と民主主義が愈々重きをなす今日　私たちは、この運動の源流としての秩父事件を　切に思う。
玆に、父祖たちの鎮魂と共に事績を顕らかにしその遺産を継承すべく記念碑を建て、自由への狼火がわが秩父谷にあげられた証としたい。
昭和五九（一九八四）年十一月一日
秩父事件百周年吉田町記念事業推進委員会
秩父事件顕彰運動実行委員会

歴史学の研究の上でも、どのような側面から物事を見るかによって、その歴史的性格の評価はずいぶんと変わってしまいます。政治史上では秩父事件など、ほとんど取り上げられないでしょう。しかし、民衆史の上ではいろいろ評価されるでしょう。そこが歴史学を考えるうえで難しいのですが、重要なことは他の人の考えを鵜呑みにしないで、少しは自分で判断することだと思います。碑の近くには秩父事件のパネルがあり、困民党と鎮圧の動きがわかりやすいです。

【写真をクリックすると拡大できます】龍勢は椋神社の祭礼として打ち上げられるようで、毎年10月に行われるようです。境内や近くには発射台らしきものがありました。

それで友達とあちこち見ていると、社殿でこんな絵馬を発見しました。みんな、絵が上手ですね。

【写真をクリックすると拡大できます】友達の情報によると、この秩父は「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」というアニメの舞台になっているらしい・・・とのことでした。その友達も私もそのアニメをまったく知らないので、よくはわかりませんが、社殿にあったパネルによると、この椋神社も舞台の一つらしいので、こういう絵馬があるのでしょう。定峰峠もそうでしたが、ここもいわゆる「聖地巡礼」の一種となっているようです。私はこのアニメのことをよく知りませんが、秩父という地方都市を舞台にしているところは面白いと思いますし、「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」というタイトルもなかなか抒情的で素敵だとは思います。しかし、若い私たちがこうして秩父という地にやってくると、どうもこのアニメの聖地巡礼をしに来たように周りの人に見られてしまうのではないかと思いました。別にそれが極端に不満なわけではないのですが、可愛い女の子のキャラクターが出てくるアニメであるとなると、抵抗がないわけではありません。ワイルドな感じからすれば、定峰峠でイニシャルＤの聖地巡礼者（走り屋）と間違えられたほうがまだいいですね・・・ま、それはともかくとしても秩父は非常に魅力的な観光地でした。このあと両神の方へ行き、温泉に入ってから東京へ帰りましたが、実に見どころの多い旅でした。というより、秩父はまだまだ見たりません。東京から道路さえ空いていれば、１、２時間程度で行けるとなれば、あと２、３回は行きたいところです。また近いうちに秩父に行く計画を立てています。（おしまい）